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まあ、社長は、長子かどうか関係なく競わせて、その上で負けてきたようだから、プライドも木っ端微塵なのかもしれないなー、と琴音は身も蓋もないことを思う。
でもこの人、なんていうか。
根回しとか策謀とか苦手そうだから、それで負けたんじゃないかという気もしているんだが――。
「まあ、人生いろいろありますよ」
「港町で、おかしな格好させられて、寒い中、外で蕎麦食いながら言われると、そんな気もしてくるな。
……っていうか、後ろをまた、おかしなオッサンが通っているが」
八百屋のおじさんが黒くて縦に長い不思議な帽子をかぶり、昔の異国の人のような格好をして、チャルメラを吹いていた。
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