いつもご機嫌ななめですね

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   飴売りだった八百屋のおじさんから飴を買うと、お礼にカラクリ人形とともに、軽く踊ってくれた。  飴売りとは、そういうものらしい。 「あの調子っぱずれの変な音律が頭に焼きついて離れんぞ……」  とおじさんから買ったカラフルな縞模様の飴を()めながら、横を歩く冬馬が言う。  琴音は、  ……これ、おばあちゃんとこで普通に売ってる江戸飴だよな。  ぼったくられた……、と思いながらも、鮮やかな色のそれを眺める。 「財布にはやさしくない町ですよね」 と呟くと、 「お前らがやってんだろうが」 と冬馬が笑った。  あ、笑った……と思い、琴音はその横顔を見た。  会社では気難しげな顔しか見たことがないからだ。  まあ、そりゃそうだなよ、と思いながら、ぽい、と飴を口に放ると、普通に飴の味がした。
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