支社長はいつもご機嫌ななめ

いつもご機嫌ななめですね

「まあ、こんなところまで飛ばされて、ご機嫌ななめなのはわかりますが。

　Perseverance will win in the end.《石の上にも三年》
というではないですか」

　冬馬はこちらを見下ろし、

「……何故、そこは江戸のことわざじゃない」
と言ってくる。

「っていうか、無茶苦茶発音いいな」

「私、帰国子女です」

「その顔でか」

「いや……。
　顔、関係ないですよねー」

「お前、典型的日本人顔じゃないか。
　ペチャッとして、かわい――

　くはないが」

　いや、その最後の付け足し、いらなくないですか……？　と思いながら、琴音は答える。