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「この企画、実は私が立てたんです。
一度日本を出てから、その良さがわかったというか。
一度外に出た方が客観的に見られるということもありますよね。
会社もきっと同じですよ。
一度、本社から離れてみた方がわかることもあると社長もお考えなのかもしれないですよ」
そこで、黙ってなにごとかを考えている冬馬に言った。
「まあでも、ただ飛ばされただけかもしれないですけどね」
「……なるほど、確かに、帰国子女だな。
曖昧にぼかして包み隠すということを知らないようだ」
偏見ですよ、支社長……。
っていうか、貴方も帰国子女じゃなかったですか? と思いながら、
「いえいえ、私なんぞが勝手に社長の心情を語ってはと思いまして」
と琴音は笑ってごまかそうとする。
「癒されないな、この町……」
と横で冬馬は呟いていた。
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