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行列のあとを人々がゾロゾロとついていっていた。
勝手に参加してもいいからだ。
お囃子に乗って移動していくお客さんたちを眺めながら、琴音が、まるで、ハーメルンの笛吹きだなあ、と思っていると、
「……会社で俺は不機嫌か」
去っていく行列を見ながら、冬馬が訊いてきた。
はい、とあっさり琴音は頷く。
「仕方ないですよ。
支社長、飛ばされて、此処に来たんですから」
「だから、お前、ストレートに言いすぎだろっ。
包み隠せっ」
「いえいえ、みなさん、腫れ物を扱うように支社長のことを扱われているので、そういうのもお嫌かなあと思いまして」
「いや……もうちょっと労わってもくれていいんだぞ」
もうちょっと包み隠せ、とまた言われた。
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