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小さな社の側の大きなイチョウの木の陰にひっそりと立っているような古民家。
その軒先は、普段と変わりなく、普通に駄菓子が置いてあるだけだ。
――と思ったら、駄菓子屋は江戸時代からあったからのようだった。
「篠原。
いつから、此処は江戸になった?」
と冬馬が屋台の並ぶ商店街を見ながら問うと、
「支社長、町おこしですっ」
と自身もバッチリ町娘の格好をしている琴音が言う。
「……やりすぎだろ」
と言う冬馬の前を、真っ赤な衣装を着て、巨大なトウガラシのオブジェと幟を抱え、トウガラシを売り歩く男が通っていった。
なんかすごいノリノリなんだが……と声を張り上げ、口上を述べながら通り過ぎていくその男を見送る。
これ、たぶん、商店街の人なんだろうなと思っていると、
「おばあちゃーん」
と琴音が呼びかけながら、駄菓子屋に入っていった。
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