角を曲がれば、江戸……

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「琴音」  いきなり、ばあさんが口をきいて驚く。 「その支社長とやらと回ってきたらどうだ」  支社長とやらって、と琴音が苦笑いしている。 「でも、そうですね。  支社長、気分転換にいかがですか?  ただ、町中巡るのなら、ちょっと着替えてください」  支社長なので、と言いながら、後ろの行李(こうり)から衣装を引っ張り出してきた琴音は、 「こんなのいかがでしょう。  武士の普段着、着流しか、莫迦旦那――  失礼、若旦那の休日な感じで、長羽織とか」 と笑顔で言ってくる。  ……何故、お前、俺に莫迦旦那の衣装を着させようとする。
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