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―――そんなことじゃいけない。僕らは、不幸のどん底にいなければならないんだ―――
翔琉は日常を壊さなければならないと信じた。裸になった理由は分からない。ただ全てを捨てなければならないと感じたことだけは確かだ。
トモエの隣にもぐりこんだのは、ただ、そうしたかっただけのこと……。
寝具の中のトモエは、驚いたことに全裸でひどく熱を帯びていた。まとっているものといえば男と女の体液が混じり合った臭い。……エロスそのものだった。
「こんな時でも管理人とするのか?」
耳元で声をかけても寝息に変化はなかった。快楽に疲れたトモエの意識は深い闇の底に沈んでいるのだ。
翔琉の脳が痺れ、いつまでも妻と息子を守りたいと考えていた譲司の魂が覚醒し、肉体を支配した。
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