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感謝の言葉と共にキスをすると、ルスタは体を起こし、ゼアンの下半身へ手を伸ばした。今から繋がる部分へもう一度指を這わせ、潤滑油を塗りこむ。そして、柔らかくなったそこへ、ルスタのいきり立った陰茎が当てられた。
「平気か?」
「はい」
少しだけ、怖い。けれど、ぐっと押し当てられ、入り込んでくるものを嫌だとは思わなかった。痛くて、固く目を閉じたけれど、無理だとは叫ばなかった。
「ふ、んっ……、うぅ……!」
漏れ出る声は苦痛からだった。それを隠すために口を覆う。
「ゼアン、きついならっ……!」
ルスタの顔も険しかった。つらいのはたぶん、一緒だ。
だからゼアンは駄々っ子のように頭を振った。
「いや、ですっ……! このまま、まだっ……」
「しかし……」
「ルスタさまっ……!」
止めたらだめだ。
今夜が最後のチャンスなのだから。
ゼアンは涙声で止めないでくれと訴えた。名前を呼ぶと、苦しげにルスタが呻く。
ぐっと体に力が入ったとき、何故だか上手くルスタを受け入れることが出来たような気がした。あ、と声が漏れたときには、ルスタの熱を近くに感じた。
「す、すごっ……」
満たされるとは、こういう感覚なのだろうか。腹いっぱいに満たされているような気がする。ゼアンは初めての感覚に戸惑いながら、ルスタを見上げた。額に汗を浮かべているルスタはゼアンの視線に気づき、無理に笑んだ。
「いた、い……ですか?」
「いや。どちらかというと、つらい」
「えっ……」
「このまま思いっきり、腰を打ち付けたくなっている。だが、それは出来ないな」
やってもいいと言うなよ、と先に釘を刺された。繋がったままで、ルスタはゼアンの腿や腹を撫でていく。まるで痛みを遠ざけていくかのような優しい手つきだった。
二人をひとつにしている部分が、とても気になった。けれど、ルスタの愛撫に別のことも気になってくる。
「ルスタ様……」
「ん?」
「キス、してください」
「……ああ。もちろん、いくらでも」
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