まさや

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まさや

俺の名前は「まさや」。今、妹たちと小遣い稼ぎに来てるここんちの息子と同じ名前だ。といってもその息子はもういないんだけど、最近仏壇においてある息子の写真が、なんか俺に似てねえか?と気になり始めている。いや、マジそっくりで気味が悪いぜ。それに、隣のチョーキッタないノートも気になる。「だいありい」とか書いてある年代もんのノートで、戦隊シリーズのヤツ。 「お、まーくんってば、またサボってんの?」 「おばちゃん、人聞き悪い事言わないでよ。ねぇ、この写真って死んじゃった息子さんでしょ?」 「うん」 「なんかさー、今更だけど俺と似てね?」 「そっか?」 「いやいや、そっくりでしょ」 「ま、世界には自分にそっくりな人、三人はいるって良く言うじゃない?たまたまよ。でもまーくんと違うとこは、うちの息子、チョー頭が良くてかっこよくて、女子にスゴクモテたとこかなー」 「ほー・・てか微妙にムカつくし・・。あ、あとさ、そのノートさー、なに?」 「ノート?あぁ・・これ?」 「そう、えらくキッタないけど、日記なの?」 「だいありいって書いてあるんだから、当たり前でしょ」 「いや、そうだけど・・」 「オニィ!いつまでサボってんの!早く手伝いなよー!」 妹が鬼みたいな顔して向こうから走ってきた。 「ヤベっ、おばちゃんさ、あの実がなる木ばっかの一画、どうにかなんね?毎年収穫とか大変だしさー」 「あぁ、そうね、そっか・・考えとく」 「考えねークセに」 「あら、バレた?」 「息子がね、好きだったのよー・・だろ?」 「ご明察!ほら、頑張らないとお小遣いあげないからねっ!行った行った!」 おばちゃんとウチの両親がどんな関係なのか、聞いたことはない。、物心つく頃にはもうここが俺の遊び場だったし、学童代わりだったし、ウチから五分だし、おばちゃん優しいし、気前良いし、だから大好きだし。ま、理由はなんでも良いさな。きっと一人暮らしのおばちゃんのこと心配で俺たちを来させてるんだろ。もう1つ気になっているのは、なんの疑いもなくおばちゃんって呼んでるけど、実はウチのばーちゃんと同い年ってこと。でもだからってばーちゃんなんて呼んだら小遣いくれなくなるかもだから、深く追求するのはやめとこ。 「オニィ!怒るよっ!」 「おこるおこるぅ」 「ヘイヘイ・・分ったってば」 さて、これからビワの収穫ね・・。
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