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「だって、そうでしょう?」
「いや、だから、雛子だけじゃなくて、女の子と付き合っている暇は無いかも」
「あのさ、私がどうしてあの女子大に決めたか、分かってる?」
「それは、名門だし、お母さんの出身校だし・・・」
「バッカじゃないの!今野君みたいなのを『トウヘンボク』って言うのよ!」
「・・・」
「今野君の通う大学と、私の通う女子大は、どういう位置関係にある?」
「隣・・・、えっ?お前、そんな理由で?」
「うん・・、私、絶対に今野君の邪魔はしない。約束するから・・・」
「分かったよ・・・」
「ホント?本当に?」
「うん、俺、雛子のこと結構好きだし・・」
雛子の目に、見る見るうちに涙が溢れ、泣かしちまった・・と思った瞬間にあいつ、俺にガバっと抱きついてきた。その勢いで、後ろに倒れそうになったが何とか持ち堪えた。
「ゴメンな・・気付いてやれなくて」
「ううん・・・」
俺は、雛子の「竹を割ったような」性格が好きだった。何となく、いつも傍にいるけど、ちっとも邪魔じゃないし、負担じゃない。俺は、雛子との間に「男女間の友情」が成立していると思っていた。それが恋愛感情に変わるなんて、予想もしていなかったのだが、付き合いが深まっていくにつれ、俺の中に確かにある種の感情が湧いてきた。人はそれを「愛情」と呼ぶ。
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