0人が本棚に入れています
本棚に追加
慌てて、店を飛び出すと、十メートルぐらい先に蘭が立っていた。
会計の間、待ってくれてたんだな。
小走りで駆け寄った。
蘭は木枯らしを避けるように、コートの衿を立てていた。
「帰るか」
「うん」
しばらく二人は並んで歩いた。
住宅街を抜けて、駅前の商店街に入った。
すでに七割がたの店はシャッターを閉じていた。
僕はポケットに手を突っ込んで、少し先を行く蘭ノ国足元を見ながら歩いた。
「あっ!」
急に立ち止まった蘭の背中に突っ込みそうになった。
「なんだよ、危ないな」
「ほら、みて!」
蘭が指し示す先を見つめると、クリスマスツリーが立っていた。
白色と青色のLEDを身にまとったクリスマスツリーは、流行を先取りしたスーパーモデルのように、周囲に馴染むのを拒否して、堂々と立っていた。
最初のコメントを投稿しよう!