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取引
猫になって三日も経つと、俺も本体の身体がどうなっている状態か、うっすらと予想がついてきた。
まあ、この夏場だが、腐りかけているということはないだろう。
「何でそう分かるんです?」
真那賀が店の畳の上を尻尾でパタパタ叩く俺に団扇で風を送って来た。そう。暑いの! もっと風!
「もう、そんなだらしなくお腹を出さないでください。うちのお客様の、影虎のファンが見たらがっかりしますよ」
さっきの話の続きだが、まあ、俺は今ちょっと、ヤバい事件を追っててな。仕事中にやらかしたんだ。前後の記憶ははっきりしないが、多分、コンビ組んでる部下が一緒にいたと思う。襲われたにせよ、そいつが一緒なら多分病院に連れてってもらってる。
「その人も一緒にやられていたらどうなります」
事件を追っている最中は必ず居所は明らかにしているから、二人一緒にどうにかなっても班の連中は俺等を探す。俺は生霊になっているってことは、命だけはあるんだろう?
「さあ、どうでしょうね。すでに身体は死んでいるから、帰れなくていつまでも影虎の中にいるのかも」
ひーっ、勘弁してくれ!
真那賀あ。頼むよ、俺の身体探してくれ!
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