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猫相手にマジギレしないのは褒めてやるが、さっさと出て行け、チンピラ。
やるんなら表に出ろい。三丁目先までの語り草にさせてやるぜ! 猫とガチバトル!
「畳が血で汚れたじゃねえか。ったく、とんでもねえ引っ掻き方しやがる」
だらだらと出血させても、マキは平然としていた。真那賀の方が焦って手拭いでマキの足首の出血を止めるほどだった。
まあ、さすがにいい爪してるよな。ドーベルマンと戦えるだけある。
真那賀が雑巾で畳の血を拭っている間、マキは煙草に火をつけた。
「禁煙ですよ」
「固いこと言うなよ、煙には慣れてるだろ」
マキは特に俺に怒りをぶつけてくるわけでもなく、真那賀が結んだ手拭いの足を放り出していた。
畳を拭き終わった真那賀が、救急箱を手にマキの傍らに座る。
「マキさん」
「ん?」
「ここに居てもいいですけど、条件があります」
片眉を上げるマキに、真那賀は告げた。
「警察筋の情報を、手に入れることは出来ますか」
マキは答えずに真那賀の話の続きを待った。
「浅田健司。三十二歳。警視庁捜査一課第五係主任。警部補。この人が今どこでどうしているのか、調べてください」
真那賀!
俺は仰天して真那賀の膝の上に飛び乗った。
「桜田門なんて恐れ多い場所、ツテなんてねえよ」
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