2 新たな社是によりあなたを平和的にプロデュースします

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「つまり、お金を貸す側にとって、借りた側というのは、もちろん顧客です。ところが、返済が滞ったとたん、敵とみなすのが従来の方法でした。しかし我々はこの考え方を捨てます。生まれ変わりましたので!」  おそらく、この子は借金取りなのだろう。借金取りに見えないけど借金取りなのだろう。でも、それが僕を敵、ではなく、顧客、とみなす。ひょっとしたら、本当にひょっとしたらだけどいい話かもしれない気がしてきた。  お客様は神様です。昔、そう言った人がいたらしい。  すると、僕は神様的な何かだ。ならば、目の前に美少女がやってくるというのもあながちあり得ないことではない気がする。  それこそ、以前パソコンでやったあの手のゲームみたいな。友達に借りて不正コピーしたけど。いいじゃないエンディングで涙したんだから。制作者冥利に尽きると思うよ。制作者も、決して金の亡者じゃないと思うのね。これだけ感動的なストーリーを作れるような人が、そんなお金にやかましいわけないじゃない。 〝可能性ある顧客を潰してしまう焼き畑式         ↓  共存共栄、Win‐Winの関係へ!〟  うぃんうぃん。確かそのゲームには効果音として……。そんな話はどうでもいいや。時々聞くけどよくわからない言葉だ。  しょっちゅう意識高い系の人たちが使う言葉だった気はする。意識が高くないからわからない。はい、終了。     
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