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「……」
「ママ?」
「お袋……っ」
その頃瑠璃は病室にいた。そして、翠が目を覚ました。上手く声は出せないようだったが、翠はぼんやりとした目で瑠璃と司に視線をやった。
「お袋、分かる?」
瑠璃の言葉に小さく頷くのを見て、瑠璃が安堵の息を吐く。
「ほら、だから言ったろ? ママは大丈夫だって」
「うん……」
瑠璃にメールが入った。ジュンの事も気になって仕方がなかった瑠璃は慌ててそのメールを廊下で見る。相手は弥助だった。
『お母さんの御容態はいかがですか?
ジュンさんは無事です。ヴォルフさんを殺してもいません。ただ酷い怪我を負ったので、今坂本動物病院にいます。今日連れて帰ることも可能ではあるが、念の為三日程入院してもらいたいとのことです。どうしますか? 弥助的には、お母さんの事もあるでしょうから三日入院させたほうが良いと思いますが』
「ごめん、お袋、親父、ちょっと出るっ」
「何処行くんだ?」
「えっと、し、親友が運ばれた病院!」
「親友に何かあったのか?」
「そう!」
「そうか、気を付けて行ってきなさい」
「うん! お袋、後でまた戻ってくるね!」
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