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「いえ、俺が悪かったんです。本当にごめんなさい」
「良い子だ。ちゃんと反省してんだな」
「かなり反省してます……」
ルスランは公園に入った。何故公園? と思いながら、近道でもあるのだろうかと瑠璃は疑いもなくルスランに着いていく。靴紐が解けた事に気付き、瑠璃はしゃがんで結び直した。結び終えて立ち上がれば、ルスランと少し距離が出来ていた。
「なぁ兄ちゃん、大事な話がある」
「大事な話……?」
ルスランは立ち止まり、少し離れた場所に居る瑠璃と向き合う。
「依頼の内容が変わった。──シェパードの主人を殺せってな」
「……え?」
瑠璃が後退る。
「逃げるか? 俺から」
「ルスランさん……?」
「逃げられると思うか? 俺から。前に言ったが、俺はあんたを殺す事に躊躇いは全くねぇんだ」
瑠璃は頭が真っ白になっていた。
目を見れば分かる。ルスランは本気だ。
「俺を、殺すんですか? 今、此処で」
「ああ、そうだ。……目を閉じてろ。せめてもの情けだ。痛みなんて感じる前に逝かせてやるから。……な? 目ぇ開けてたら怖ぇだろ。ちゃんと待っててやるから、目ぇ閉じろ。兄ちゃん」
自分を殺そうとしている相手の声が、表情があまりに優しくて瑠璃は混乱してしまう。
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