第25話:正せない間違い

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「頼むわ。出来るだけ苦しませたくねぇんだ。言う通りにしてくれ」 「代わってあげるよぉ。なんだかんだで情が湧いちゃったんだよねぇルスラン君。その顔見りゃ分かる分かるぅ」  現れたのはメリッサだ。メリッサもまた、瑠璃を殺す為に動いていたのだ。 「この子の覚悟決まるまで待ってあげるつもりだったんでしょう? だめだめぇ。覚悟なんて決まるわけないでしょ? こういうのはねぇ、ぱっとやっちゃうのが……優しさだよぉ? ルスランくぅん」  メリッサが狼に姿を変えて瑠璃に近付く。瑠璃は思考回路が停止しているのか、その場から動かない。 「おい! 勝手に……っ」  ──チリン……。  鈴の音が園内に響いたと思った瞬間、ルスランの横を一匹の黒猫が走り抜けた。その黒猫を横目で見て、ルスランが目を見開く。 「メリッサ! 止まれぇ!」 「はい?」 「そのまま行ったら殺されるぞ!」  瑠璃を守るように、首に鈴を付けた黒猫が立ち塞がる。それを見たメリッサが息を飲み、人間に姿を変えて立ち止まった。  瑠璃も、目を見開いた。その黒猫が人に姿を変えたのだ。 「狼君、君は彼の護衛を止めたのかい?」 「なんで……あんたが、こんな所に」 「いいよ。それなら君のたすきは僕が受け取ろう。今からは僕が彼の護衛だ」     
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