第26話:すれ違う気持ち

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 その言葉に、ジュンは目を丸くして黙った。そんなジュンにもう一度、「ごめんな」と瑠璃は小さく言った。 「なんでそんな事言うの? 瑠璃は俺の自慢の主人なのに」 「俺はお前に酷い命令をした。絶対にしちゃいけないことだった」 「なんで? 瑠璃の命令、俺嬉しかった。瑠璃に信用されてるんだって思えた。酷くなんかない。瑠璃は俺を信用してくれる良い主人だよ」 「良い主人なもんか。あんな命令して」 「でも俺は」 「あんな命令、家族なら絶対にしない」  ジュンは瑠璃の顔を見上げながら黙り込んだ。 「……念の為、三日間入院な。退院したら、ご馳走作るから」 「……」  何も話さなくなったジュンの頭を撫で、瑠璃は「また明日来るから」と言って部屋を出て行ってしまった。 「……」  ジュンは瑠璃によって閉じられた部屋の扉を意味も無く眺めた。 「家族……」  先程瑠璃が言った言葉が、ジュンの頭でこだまする。遠回しに、お前のことは家族だと思っていなかったと言われた気がしたのだ。 (パートナーって、家族じゃなかったのか……知らなかった)  ジュンの中で、家族という言葉とパートナーという言葉は同じものだと思っていた。 (そういえば俺、瑠璃に家族って言われたことないや)     
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