第27話:行ったり来たり

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***  瑠璃はジュンと共に、翠が入院している病院に訪れた。傷の治りは順調で、弱々しくではあるが声も出せるようになっていた。瑠璃はそんな翠にチケットを差し出す。 「あらぁ。なぁにこれ」 「チケット。商店街のクジで当たったんだ。退院したら、親父と行ってきなよ。七人分だから、友達とか誘ってさ」  翠は嬉しそうに笑いながら受け取ったチケットを眺める。そして、何かに気付く。 「あらこれ……期限付きよ瑠璃」 「え?」 「十日以内よこれ。過ぎたらこのチケット使えないわ」 「はぁ!?」  瑠璃はチケットを取り、観察する。すると、小さく「有効期限:受け取りから十日以内」と記載されていた。 「嘘ぉ!? こんなことある!? 普通もっと期間空けない!? 何このニート向けチケット! 信じらんねぇ!」  翠は瑠璃の様子を見て、クスクスと笑う。 「いいじゃない。行ってきたら?」 「いやいや……」 「ママ生八ツ橋食べたぁーい。あとあぶらとり紙も欲しいわ。あ、お漬物も。あと、可愛い和傘も欲しいし、(かんざし)も。あとねぇ」  ニコニコしながら欲しいのを語る翠に、瑠璃は困ったように笑う。 「そんなに欲しいものあるの?」 「ふふ、そうよー。ママ、強欲だから。瑠璃は優しい子だから、全部買ってきてくれるんだろうなぁー」  そう言ってチラッと瑠璃を見る翠に、瑠璃は溜息を吐いた。 「……欲しいの、全部紙に書いて」 「あら。行ってきてくれるの?」  翠は楽しそうに笑い、側に置いてあったメモ帳とペンを取った。 「ふふ、いっぱい頼んじゃおっと」 「う。お手柔らかに」  鼻歌を歌いながら機嫌良さそうに字を書く翠を見て、瑠璃が小さく笑う。翠は順調に回復に向かっていた。
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