第27話:行ったり来たり

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*** 「星野はん!」 「お、菊江ちゃん」  その日の夜、菊江はお座敷に入った。そこには大好きな老人、星野の顔があった。菊江が星野に抱きつくと、星野は楽しそうに笑う。 「三ヶ月ぶりやなぁ」 「星野はん!」 「ははは。風邪とか、引かへんかった?」 「うん!」 「そっかそっか。ほら、お土産やで」  星野は大きな紙袋を菊江に渡す。お礼を言って菊江はそれを受け取り、中を見る。有名店のあらゆる種類のクッキーやチョコレート、ジャム。アンティーク調の小物入れに、鏡。良い香りのするボディクリーム数種類に、上質なヘアブラシ。ルームフレグランスに、コスメポーチ。 「おおきに星野はぁん! ほんまに嬉しおす!」 「一気に食べたらあかんで。肥えてまうさかい」 「ややわぁ。うちのお土産より菊江ちゃんのお土産の方が気合入ってまへんか? 旦那はん」 「バレたか。いやぁ、菊江ちゃんの土産選ぶの楽しかったわぁ」 「ふふ。旦那はん、スイートポテト食べまへんか? 菊江ちゃんが三人で食べたい言うて買うてきたんどすえ」 「金平糖と京飴もぎょうさん買うて来たんどす! 食べて食べて!」 「おお。菊江ちゃんおおきになぁ。食べる食べる」     
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