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「星野はん!」
「お、菊江ちゃん」
その日の夜、菊江はお座敷に入った。そこには大好きな老人、星野の顔があった。菊江が星野に抱きつくと、星野は楽しそうに笑う。
「三ヶ月ぶりやなぁ」
「星野はん!」
「ははは。風邪とか、引かへんかった?」
「うん!」
「そっかそっか。ほら、お土産やで」
星野は大きな紙袋を菊江に渡す。お礼を言って菊江はそれを受け取り、中を見る。有名店のあらゆる種類のクッキーやチョコレート、ジャム。アンティーク調の小物入れに、鏡。良い香りのするボディクリーム数種類に、上質なヘアブラシ。ルームフレグランスに、コスメポーチ。
「おおきに星野はぁん! ほんまに嬉しおす!」
「一気に食べたらあかんで。肥えてまうさかい」
「ややわぁ。うちのお土産より菊江ちゃんのお土産の方が気合入ってまへんか? 旦那はん」
「バレたか。いやぁ、菊江ちゃんの土産選ぶの楽しかったわぁ」
「ふふ。旦那はん、スイートポテト食べまへんか? 菊江ちゃんが三人で食べたい言うて買うてきたんどすえ」
「金平糖と京飴もぎょうさん買うて来たんどす! 食べて食べて!」
「おお。菊江ちゃんおおきになぁ。食べる食べる」
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