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言いながら菊江の頭を撫でる星野に、菊江は心底嬉しそうな表情を浮かべた。
「調子ええから、ちょっと酒でも貰おか」
「あら。珍しいどすなぁ旦那はん」
「うち、お酌しますえ! 星野はん!」
「そりゃええわぁ。もっと美味しくなってまう」
「ふふふっ」
菊江にお酌してもらった日本酒をチビチビ飲みながら、お土産を見て盛り上がる巴と菊江を星野は愛しそうに眺めて目を細めた。
「そういえば、旦那はん来月お誕生日どすなぁ。今年も盛大にパーティ開くんどすか?」
「いや、恒例になってたからなんや周りは計画立ててみたいやけどな。今年はええかなぁって。家でのんびり過ごすわ。わしももう七十三やさかい、ああいうパーティ言うもんはどうも疲れてあかんわ。誕生日パーティ言うても、ただの挨拶回りになってまうからなぁ」
「え! ほんならうち、星野はんの家に遊びに行ってもええどすか!?」
菊江の申し出に、星野が目を丸くする。
「うち、お祝いしますえ! お手伝いしてお小遣い貰て、スイートポテトぎょうさん買うて行く!」
「それ、ええなぁ。旦那はん、良かったらうちの手料理食べまへんか? 大したものは作られへんけど」
星野は眉を下げて微笑む。
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