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「ちょいちょいちょい。手ぇ貸して良くね!? どーする勇ちん!」
「んんー……もうちょい様子見よか? あかんようなら行くしかないわ。最終手段、ゴールちゃうけど車此処まで持ってきて乗せて帰るしかないで」
「も、もうそうした方がええんちゃう? 芽生ちゃん、三歳やで? 充分やんかぁ……」
「ま、ギブアップは本人が決めると思うので、取り敢えず様子見で良いと思いますよ」
「ああああっ」
葵の叫びに、一同芽生に目を向ける。
芽生が転んでいた。子犬を潰さないようにと、咄嗟に右手を地面に着けた。その際、手の平の皮が剥けた。膝も強く打った。芽生はそのままの体勢のまま立ち上がらず、肩を震わせている。
「ひっ、……ひっ、……ああああああ゛……っ」
とうとう泣き出してしまった。
「あ、あかぁん……っ! 胸が痛いぃ! 僕涙出てきたぁ……見てられへんわぁ」
「ねーねー、もう良くね? 手伝っていいっしょこれは。可哀想だって」
「俺、車持ってくるわ。ようやったわほんま。充分や」
勇太が銀次にカメラを預け、駐車場へ走る。
芽生は大声で泣き続けていた。心配そうに芽生を見守っていたメンバーは、蘭丸の行動にギョッとする。
「芽生さん、芽生さん。ランの声が聞こえますか?」
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