第28話:風に負けない子

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***  初めてのおつかいは終わった。芽生は最後まで歩いた。 「げぇ! 何この犬!」  夜。帰宅した文也は、出迎えた見知らぬ犬にギョッとした。 「おう、お帰り」 「ただいま……じゃなくって、何この犬!」 「いやぁ、芽生が連れで帰っで来でよぉ」 「はぁ!? どうすんの!? なに、これ俺が飼う流れなの!?」  裕也は子犬を抱き上げ、へらっと笑う。 「いんや。家で飼う。芽生が根性で連れで帰って来た捨て犬だ」 「……え。簡単に決めていいの……?」 「誰も文句さ言わねぇべ。芽生が自分で面倒見るって言っでんだもの。芽生は間違いなぐ責任持っで世話する。自信持って言える。んだからよぉ、明日ペットショップさ連れでって。新幹線さ乗せんのにさ、ケージ必要だべ」  文也は、確かにあいつらは誰も反対しねぇべなと思いながら、靴を脱いでリビングに向かう。 「ふみやおいたん!」 「おおー……って、なんだその手!」 「ころんだ!」 「オイオイ気を付けろよぉ。お前女の子なんだからさ」  言いながら、文也が芽生を抱き上げた。 「どうだった? 買い物」  瑠璃から最後まで頑張ってたと連絡を貰っていた為、知っている。が、敢えて知らないふりをして本人に問う。 「さいごまで、できた! ぜんぶ、買えた!」 「おお凄ぇ。やるじゃんお姉ちゃん」 「へへへ!」  文也が芽生を降ろすと、芽生は「ふみやおいちゃんにほめられたよー!」と、裕也の元に掛けていく。文也はまだ犬のままの蘭丸に近付き、頭を撫でて小さく「ありがとな」と呟いた。
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