第28話:風に負けない子

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「ん?」 「稲は強い風が吹いても倒れないって」  文也は「ああ」と言って笑い、咥えた煙草に火を点けた。 「そうそう。うちの奴ら、何かあるといつも言うからさ。それ」  文也はテレビを点け、適当にチャンネルを変える。 「ガキの頃はこんな家嫌だとか思ってたけどさ、まぁ……今はあの家に産まれて良かったと思ってるよ。絶対言ってやらねぇけど」 「言えばいいのにぃ」 「絶対やだ。爆笑されて終わる。俺には分かる。あいつらそういう奴だもん」 「ご主人様って、どんな子供だったんですか?」  文也は紫煙を吐きながら、こっ恥ずかしそうに頭を掻いて目を伏せた。 「あー……んー……そうだな。……三兄弟の中では一番甘ったれ……だったと思う。あいつらが逞しすぎるんだよ。三兄弟の中でってだけで、俺は普通だぜ。綺麗なお姉さんが大好きな子供でした」 「歪み無い! 流石ですご主人様」 「そういうお前は?」  蘭丸が笑顔で硬直してしまった。何か黒歴史があるに違いないと思った文也は、ニヤニヤしながら肘で蘭丸の脇腹を突付く。 「おーい。なぁに隠してやがんだ。クソガキだったのか? 聞いてやろうじゃねぇかお前の黒歴史。……蘭丸?」 「あ……」     
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