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後日、昼間。株式会社ジェルモッリオは昼休み中だった。会社の非常口付近で、二人の男性社員が缶コーヒー片手に煙草を吸っている。その表情は不機嫌だ。
「ったく。やってらんねぇよあの鬼社長。ノルマ未達成者貼り出しって何。公開処刑もいいとこだっての」
「お前達成できなかったもんな」
「ほんのちょっとじゃねぇか。一番成績悪かった女社員なんて晒されて泣いてたぞ。ブラックすぎだろ」
「仕方ねぇって。あの冷酷な鬼が社長なんだから」
「邪魔だから死んじまえば良いのにな」
「ははっ」
「真尋の悪口言うなよ!」
正面から聞こえてきた声に、二人は身体を強張らせる。が、視界に入ってきた人物に胸を撫で下ろす。目の前に居るのは、黄色のパーカーを着た、黄土色の髪の小柄な少年。見た目からして、中学生くらいだろうか。少年は紙袋を抱え、二人を睨んでいる。
「僕ー。此処、部外者立ち入り禁止だから。警備員何してんだよ……」
「今日平日だろ? 登校拒否? 学校行けよガキ」
「ガキじゃないぞ! そんなことより、謝れ! お前ら、真尋の悪口言った! 俺、絶対に許さないぞ! あーやーまーれ! 謝れ! バカ!」
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