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悔しそうに地団駄を踏みながら喚く少年を、二人が鼻で笑う。だが、背後から聞こえてきた声に二人の血の気が引く。
「此処は禁煙のはずだが。いつから喫煙所になった? 誰が許可した。私は許可をした覚えはない」
「しゃ、社長……っ」
立っていたのは、この会社の社長。立川真尋である。少年は真尋の姿を見て、ぱぁっと表情を明るくしてその場で跳ねる。
「真尋! 真尋! 俺、真尋にパンを届けに来たんだぞ! それとね、こいつらは悪い奴なんだ! 真尋の事鬼とか死んじまえとか言ってたんだぞ! だからね、俺ね、怒ってたんだ! 俺あったまきてたんだぞ! バーカバーカ!」
二人は生気の無い顔で、携帯灰皿で煙草を消した。
「しゃ、社長、この子は」
「私の身内だが何か」
ドヤ顔をする少年に、更に血の気が引いて真っ青になる二人。
「君達は随分と私が嫌いらしい」
「そんなことは」
「問題ない。お互い様だ。私も仕事の出来ない馬鹿は嫌いだ。君達が此処を辞めたとしても、何も困らない。寧ろ、マシな人材を座らせる席が二つも空くんだ。利しかない。辞表ならいつでも受付けよう。結果を残していない者が文句を言う資格はない。この会社に不必要だ。以上」
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