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勇太はスズを連れていつもの喫茶店にやって来た。
旭と涼がカウンター席に座りコーヒーを飲んでいた。スズを見た涼の「柴犬かよ」という言葉に、旭が目を丸くする。ユキも皿を洗いながら「柴犬ですね」と呟いた。スズはユキと涼の視線を受け、サッと銀次の背後に隠れた。その様子に、銀次は苦笑いを浮かべる。
「大丈夫。怖ないでスズ君」
「べ、別に怖くないぞ。俺は強い子なんだからなっ。柴犬はロットワイラーの百倍強いんだぞ!」
「ああ? なんだって柴コロ」
「そ、そんな顔しても全然怖くないんだからなバカ!」
スズは銀次の隣に座り、口を結ぶ。どうやら温厚な銀次の側が落ち着くらしい。勇太はデレデレした表情でスズを見て、「はぁスズちゃんかわええ」と繰り返している。
「可愛くない! 俺は格好いいんだぞ!」
「はぁ柴犬かわええ」
「むぅうッ!! お前の主人なんだかムカつくんだぞ銀次!!」
「勇ちゃんは自分の感情に素直なだけやから許したって……」
好きなものを頼んで良いと勇太に言われたスズは、メニューと睨めっこしてヨーグルトスムージーを頼んだ。
「えっと、スズ君は主人居るの?」
銀次の言葉に、スズは大きく頷いた。
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