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「あ、スズ君!」
数日後、雑貨屋で声を掛けられスズが目をやる。銀次である。
「奇遇やなぁ。スズ君も雑貨屋好きなん? 僕も僕も。見てるだけで楽しいよね」
「別に。なんとなく、入ってみただけだし」
そう言ってスズはプイっと顔を背ける。銀次は少しだけ困った笑みを浮かべ、スズの肩を優しく叩く。
「良かったら、僕と今から遊ばへん? 遊ぶ言うても、ただのお散歩とお買い物やけど」
「え……」
スズは驚いた表情で銀次を見上げた。そんなスズに、銀次は柔らかく微笑む。
「付き合うてくれへん? 勇ちゃんお気に入りのマグカップ壊してもうたから、ええのないかなぁって、探してたところ」
「お……俺も……」
「うん?」
「俺も……真尋にマグカップ買ったら、喜んでもらえるか……?」
もじもじしながら言うスズに、銀次は笑顔で頷いた。
「きっと喜ぶで」
「ん……。じゃあ、付き合ってやっても別にいいんだぞ」
「へへ。おおきに。ほな、一緒にええの見つけよか」
「ん!」
約百五十五センチと、約二メートルが並んで歩く。かなり凸凹な組み合わせだ。デカとチビ。なかなかに目立っていた。
「真尋兄さんはどないなものが好きなん?」
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