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銀次は肩を落とし、自嘲しながら溜息を吐いた。相変わらずネガティブ野郎である。
呆れながら銀次を見た後、スズは俯いた。
「す、スズ君?」
「……俺多分、銀次より面倒臭くない。それに、きっと俺の方が良い子だ」
「え、う、うん。僕もそう思う」
「そうだ。俺は良い子なんだ。だから難しいんだ。これ以上、どうやったらもっと良い子になれるのか、俺分からないぞ」
「もう充分ええ子やったら別にそんなん」
「もっと良い子にしないと、俺は追い出される!! 勇太と仲良しなお前とは違うんだ!!」
銀次は目を丸くし、俯いて歯を食い縛り拳を強く握るスズを見下ろす。今のスズの発言は、銀次にとって聞き逃せなかった。
「……スズ君、そんなん言われてるの……?」
「……」
銀次は嫌な予感に眉を寄せる。もしや、虐待されているのではないかと思ったのだ。
「もしかして、ぶたれてるん?」
「ぶたれてないぞ! 真尋はそんな事しない! ただ、俺の良い子レベルがまだ足りないから……っ」
「良い子レベルて初めて聞いたでスズ君」
「俺はもっと良い子レベル上げないと、駄目なんだ。今、多分レベル五十くらい。けど、百まで上げないと駄目なんだ」
「う、うーん……」
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