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数日後。公園で遊ぶ瑠璃とジュンの元に、グラサンをかけた男が犬を連れてやってきた。
「蘭丸!」
「ジュンさん!」
犬の姿のままわーっとじゃれ合う二匹を見て、瑠璃は思わず笑ってしまう。
「文也さん、里親探しは順調?」
文也は咳払いし、誤魔化すように人差し指で頬を掻いた。
「あー……まぁ、見つからねぇから諦めたっつぅか」
「へぇ?」
「何そのニヤニヤ」
「里親、見つかったらどうするの?」
「絶対見つからねぇよ」
「どうして?」
「だってもう探してねぇもん」
瑠璃と文也は二匹に目を向ける。主人達の視線に気付いた二匹は、尻尾をブンブン振りながら駆け寄る。
「見て見て! 俺が取った!」
「取られました!」
猫派だったが、犬もいいかもと思い始めている瑠璃であった。なんだかんだで、この生活は楽しい。
〈第8話に続く〉
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