第1話:初めてのパートナー

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***  瑠璃はあの場から逃げ、そのまま商店街へ向かった。元々帰りに寄るつもりだった。通っている魚屋の年配男が先日「煮付けも持っていきな」とタッパーに入れて瑠璃に渡してくれたのだ。そのタッパーを返しにきた。 「おじちゃん」 「おー瑠璃ちゃん!」 「これ、どうも有難う。すっごい美味しかった」 「そりゃあ良かった。家内も喜ぶ。そうだ、今日は鯖が安いよ! 買っていくかい? おまけするよ!」 「鯖かぁ……どうしよっかなぁ」  瑠璃が魚を物色していれば、隣で奥様方の世間話が始まった。普段は気にも止めない瑠璃だが、この日は違う。 「聞いたぁ? 野良犬の話」 「知ってるわよ。だってうちのごみ捨て場荒らされたんだから。ほんとやになっちゃう」 「ほんと!? 通報したの!?」 「したわよ勿論! 早く捕まらないかしらね。来週孫が遊びに来るっていうのに、危ないったらありゃしないわよ」 「そうよねぇ」  バクバクと心音が激しく響く。野良犬とは。まさかと考え、瑠璃は首を横に振った。 「お、おじちゃん、鯖買うよ」 「毎度! おまけにもうひとつ付けとくよ!」 「有難う」     
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