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まぁ、よかったわねぇと微笑む奥様方に苦笑いを返し、瑠璃はアパートに向かう道を歩きだした。
その日の夜、鯖の味噌煮を口に運びながら瑠璃はテレビのチャンネルを変える。適当に変えていたが、思わず指を止めた。
犬の特集番組だった。可愛い子犬大集合とか、そういった類いのものではない。愛護センターに連れて来られた犬がガス室に送られるまでを特集していたのだ。
瑠璃はそれを食い入るように見る。
顔にモザイクがかかった家族が、犬を抱えてやってきた。シェパードだった。手放す理由はこうだった。犬が病気で、歩けなくなったから。シェパードはよく分かっていないのか、それとも分かっているのか、じっと自分の家族を見ていた。いや、家族だった人と言うべきなのかもしれない。シェパードを見捨てた家族は施設の人から説明を受け、それから「二度と生き物を飼わないように」と注意を受けシェパードだけをその場に残して平然と去っていった。
自分で歩けないシェパードはスタッフに抱えられ、他の大きな檻より少し小さめの檻に入れられた。大きな檻には何匹かまとまって入っている。病気だから隔離されたのかもしれない。数日間、シェパードはスタッフに介護される。頑張って水を飲み、頑張って餌を食べた。まだ生きようとしている、何よりの証だった。
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