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弥助は突っ込むことをやめ、黙って瑠璃の言葉に耳を傾けた。
「だから俺は、ジュンを追い出したんじゃない。俺はジュンを無責任に捨てたんだ。それに気付いた。気付いたからには、放っておけない。人として」
「それはつまりあんたは、正式にジュンさんの主人になると?」
「はい」
「言っておきますが、一生ですよ」
「はい」
「あれ、物凄い馬鹿ですよ」
「身をもって知ってます」
「これでもし捨てたら俺……あんたの事殺しますよ」
弥助はぐっと瑠璃に顔を近付け、凄む。普通の人なら怖くて引いているだろうが、瑠璃は動じず真っ直ぐに弥助を見る。そんな瑠璃の態度に弥助は観念したのか、肩を竦めた。
「降参です。いいでしょう。ジュンさんはこの弥助が全力で探してみせましょう」
「あ、あれ? 弥助さんジュンの居場所知らなかったんですか?」
「知ってると思ったんですか? 知りませんよ本当に」
「な、なんかすみません」
「気にしないで。もう遅いんであんたは帰ってください。弥助が探しますから。あ、一応若に報告を」
「聞こえてた。とっとと行ってくるがいいよ」
近くの部屋からひょこっと顔だけ出し、和希はそう言った。
「あら、聞こえてたんですね」
「聞こえてた。瑠璃」
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