第1話:初めてのパートナー

42/49

855人が本棚に入れています
本棚に追加
/1873ページ
 弥助は突っ込むことをやめ、黙って瑠璃の言葉に耳を傾けた。 「だから俺は、ジュンを追い出したんじゃない。俺はジュンを無責任に捨てたんだ。それに気付いた。気付いたからには、放っておけない。人として」 「それはつまりあんたは、正式にジュンさんの主人になると?」 「はい」 「言っておきますが、一生ですよ」 「はい」 「あれ、物凄い馬鹿ですよ」 「身をもって知ってます」 「これでもし捨てたら俺……あんたの事殺しますよ」  弥助はぐっと瑠璃に顔を近付け、凄む。普通の人なら怖くて引いているだろうが、瑠璃は動じず真っ直ぐに弥助を見る。そんな瑠璃の態度に弥助は観念したのか、肩を竦めた。 「降参です。いいでしょう。ジュンさんはこの弥助が全力で探してみせましょう」 「あ、あれ? 弥助さんジュンの居場所知らなかったんですか?」 「知ってると思ったんですか? 知りませんよ本当に」 「な、なんかすみません」 「気にしないで。もう遅いんであんたは帰ってください。弥助が探しますから。あ、一応若に報告を」 「聞こえてた。とっとと行ってくるがいいよ」  近くの部屋からひょこっと顔だけ出し、和希はそう言った。 「あら、聞こえてたんですね」 「聞こえてた。瑠璃」     
/1873ページ

最初のコメントを投稿しよう!

855人が本棚に入れています
本棚に追加