第1話:初めてのパートナー

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 ドーベルマンは弥助の言葉にビクリと身体を強張らせた後、すぐに何処かへと走って行った。 「知り合いですか?」 「んなこたどうでもよろしい。弥助、なんて言いました?」 「ご、ごめんなさい」 「勘弁してくださいよ。弥助が見つけてなかったらあんた今頃血塗れですよ。あの犬めちゃくちゃ強いんですから。……まぁ、だいぶ弱ってましたけどね」  ダルメシアンの姿のままの弥助にお説教され、瑠璃はなんとも言えない気分になった。だいぶシュールな絵面だ。その後も弥助は小言を続けるが、瑠璃は聞いていなかった。 「聞いてますかぁ瑠璃さん……瑠璃さん?」  瑠璃の異変に弥助は気付いた。そして、その理由も。 (なんだこりゃ)  空気に電流が走ったような、そんな感覚だ。だが、そう思っているのは弥助だけのようだ。瑠璃はただ必死な顔で何かを探している。鈴の音だ。瑠璃は鈴の音に反応しているのだ。  何かが近付いてくる。弥助は思わず身構えた。 「……瑠璃さん、弥助の後ろに。ちょっとこれは普通じゃない」  だが瑠璃は弥助の声を聞いていない。何かが来る。 「瑠璃さん!」  それは現れた。瑠璃はその生き物から目を離せない。 「嘘……お前、もしかして」  琥珀色の瞳をした、黒猫だ。 「瑠璃さん離れろ! その猫は駄目だ! すぐに離れ──」     
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