第1話:初めてのパートナー

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 細めていた黒猫の目が見開かれ、弥助を捉える。瞬間、弥助は金縛りにあったかのように身体が動かせなくなった。それだけではない。声すら出ない。 (参った。なんでこんなとこに、あんなものがいるんだ。あんなの、俺の勝てる相手じゃない)  黒猫は瑠璃を見ながら、ゆっくり歩き出す。まるで、導くように。 (何をする気だ。その人に手を出すな。若の貴重なご友人なんだ)  弥助の思いも知らず、瑠璃はその猫を追う。猫は度々立ち止まり振り返る。瑠璃が着いてきているのを確認したら、また歩き出す。その繰り返しだ。  そしてやって来たのが、例の神社だ。 「ここ……あれ?」  少し目を離した隙に猫がいなくなった。  階段の先にちりんと鈴の音が鳴り、瑠璃は慌てて階段を上る。  いた。  黒猫が、ではない。シェパードがだ。   「瑠璃……?」  間違いない、ジュンだ。  ジュンは目をぱちくりさせ、戸惑っている。 (あの猫、ジュンの場所教えてくれたのか?) 「瑠璃……なんで? どうしたの? あ、えっと……迷子? 俺、お家まで送ろうか? だ、大丈夫! お家に入ったりしないから。ご飯もちょうだいなんて、もう言わないから。安心して。困らせたり、しないから……もう」  ああ、そうだ。こいつは犬なのだ。いつも真っ直ぐで、素直なのだ。     
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