第30話:恋する気持ち

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第30話:恋する気持ち

 三月九日。もうすぐ、ホワイトデーである。 「建福。お前、ホワイトデーのお返しは用意してるのか」  邦孝の言葉に、建福は目を丸くした。邦孝は作っていた象の木彫りにフッと息を吹き掛けカスを飛ばし、レジに立つ建福に目を向けた。 「麗奈ちゃんから貰ってただろ。バレンタインに、手作りチョコ」 「あ、うん。邦ちゃんも貰ってたよね?」 「ああ、貰った。だから俺も一応お返し用意したぞ。あからさまな義理チョコだったけどな。気付いてたか? お前のだけ気合入ってたの。他の奴らはただの丸。お前だけビッグサイズのハートだぞハート」 「あれ美味しかったなぁ。もっと太った方が良いですって言ってたからさ、気をつかってデカイのくれたんだろうね。麗奈は本当に良い子だよね。見た目はフランス人、中身大和撫子」 「いやそういう問題じゃなくてだな馬鹿」 「どういう問題?」 「あのな。お前一回紗佳ちゃんの恋愛スパルタレッスン受けたほうが良いぞ」  なんで? と言いながら眉を寄せて首を傾げてしまう建福。麗奈は分かりやすい。無自覚なのだろうが、建福に対して常に好き好きオーラを出している。アルを除いて周りは皆気付いている。あのジュンでさえ「麗奈って建福と結婚したいのかな」と蘭丸にぶっちゃけていたくらい分かりやすい。それなのに、好意を向けられている建福本人は全く気付いていない。わざとではない。ガチだ。悲しいくらい鈍感な男。それが建福である。 「お返しかぁ。何が良いんだろう。邦ちゃん何用意したの?」 「言ったら真似するから教えん。自分で考えろ」 「えー、教えてくれてもいいだろ。台湾にホワイトデーなんてないんだから。日本独特なんだからねホワイトデーなんて。他の国にはない文化なんだから」 「日本人は食い物にしても他国の祭りにしても何に関しても魔改造が大好きだからな」
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