第36話:当たり前になった事

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 受付を済ませた一行は部屋に戻る。シェパード主従、ラブラドール主従、クロは同室だ。そしてグレートデン主従、柴犬主従が同室である。 「ファーッ! 景色ええやん!」 「自分の部屋で寛げよハイテンション関西人」 「なんでや。折角旅行来てんねやから寝る時以外一緒がええやん」 「はいはい」  勇太と文也は窓を開け、海を眺めながら並んで煙草を吸っていた。ちらりと後ろを見れば、犬四匹は仲良くトランプをしていた。 「やったぁ! ババだ!」 「ジュン君ちゃうよ!? ババ引いたらあかんゲームやで!?」 「なんで!?」 「な、なんで言われてもルールって言うか……」 「ルール、ルールばっかり言ってると嫌われるんだぞ銀次」 「そうそう!」 「ええぇー……助けて蘭丸君」 「お待ちを。今、女王二枚で王様を挟み昼ドラ展開を妄想していますので」 「同じカードは捨てるんやで蘭丸君!」 「えっ!? 女王を二人捨てたら王様の隣はジャックさんに! そ、そんな……王様と家来でBでLな展開に……いや、ジャックさんが実は男装騎士という可能性も否めない。マジか」 「いやいやいや家来めっちゃヒゲ生えてるやん! 嫌やヒゲ生やしてる女の子なんて!」 「はわぁ! そんなにBでLな展開にしたいのですか銀次さんは! 大丈夫、良いと思います! 蘭丸、偏見は御座いません! オープンに行きましょう! 銀次さんは腐男子Yhea!」 「もう嫌っ!」  手持ちのトランプを捨てて両手で顔を覆ってしまう銀次を見て、文也は笑顔を引きつらせる。 「お前のパートナーって気苦労ヤバイよな。友達も主人もボケだから」 「いや俺はどっちかってぇとツッコミやろ」 「それもボケか? ……そういや瑠璃ちゃんと真尋さんは?」 「真尋さんはお土産見に行ったで。瑠璃ちゃんも一緒ちゃう? 瑠璃ちゃんアレやん。観光地に売られてる漬物とか佃煮の瓶詰め見るの好きそうやん」 「なんか分かる」 「やろ? あの歳で見るモンがオカンやん瑠璃ちゃん」 「確かに、見る番組も昔からやってる料理番組だったり80年代に活躍してた元アイドルの旅番組だったりだからな」 「うちのオカンもよう見るやつや」 「俺のお袋も」 「今頃くしゃみしてるで、瑠璃ちゃん」
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