第8話:海と憧れ

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第8話:海と憧れ

 一人の青年が、自室でデザインの専門学校のパンフレットを眺める。そこに、ノックの音が聞こえた。 「ご飯よ。降りてきなさい」 「あ、はい」  青年は母親の声に返事をし、部屋を出てリビングに向かう。リビングには、ニュース番組に目を向けながらワインを飲む青年の父親がいた。 「母さんから聞いた。模擬試験の結果、前回より上がったらしいな。このままいけば第一希望の医大も問題ないだろう。お前は出来がいい。あいつとは違う。期待してるぞ」 「うん……」  青年は父親の斜め前に座り、目を伏せる。 「お父さん、僕、お兄ちゃんの事好きだよ」  機嫌の良かった父親が、眉を寄せた。 「お兄ちゃんは」 「毒されては困る。あれとはあまり連絡を取るな」 「でも」 「取るな。お前は自分の事だけ考えなさい」 「……」 「返事は」 「はい……」
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