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第10話:海が知っている
「おやっさんおやっさん!」
「なんだい騒がしい」
「渚が! 渚達がこっちに遊びに来るさ!」
「へぇ」
「皆家に泊まらせてもいいかい!?」
「構わねぇが、一体何人来るんだい?」
「十四人」
「十四人も寝れるわけねぇだろフリムンがぁ!」
学生達は夏休み。渚はニコニコしながら沖縄行きの飛行機に乗っていた。隣には蘭丸。
「渚さん、三日間よろしくお願い致します。何かあれば遠慮せず蘭丸に仰ってくださいませ。この旅行中は、一時的に渚さんが蘭丸のご主人様です……と、ご主人様が」
「あ、は、はい。こちらこそ、よろしくお願いします」
「蘭丸相手に敬語なんて使わなくてもいいんですよ?」
「そういうわけには」
実は此度の沖縄旅行、都合がつかなかった文也を除いてなんと主従達が全員来てしまったのだ。大地が犬になれることを知っている渚を、春斗が皆に紹介した。渚は大地以外にこんなに人になれる犬がいるとは知らず仰天したが、受け入れた。
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