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第2話:大事な人の為に
「へぇ、彼処が瑠璃さん行きつけの?」
「はい!」
瑠璃には行きつけのカフェがある。その話をしたら和希が興味を持ち、只今ジュン、和希、弥助を連れて例のカフェに案内している真っ最中だ。ちょっと小太りな中年マスターが個人で経営しているカフェだ。
「貴様貧乏のくせに随分と洒落たカフェに通っているのだな瑠璃」
「や、安いんだよああ見えて!」
「なんか、さっきから女性客ばかり入って行きますな」
「ああ、それは」
数年前までは男の客が多かったのだ。だが、ある理由で女性客が急上昇。今までずっと一人で経営してきたマスターが、ある日突然とんでもないレベルのイケメンを雇ったのである。言わずもがな、女性客が増えたのはそのイケメン君が原因だ。頬を赤く染めながら連絡先を渡していく女性が後を絶たない。
「成る程。そのイケメンには悪いことをしてしまうな」
「なんで?」
「俺が入った瞬間、女共は俺の虜になってしまうからだ」
「童貞が何を仰有るか」
「童貞じゃない! 夢の中で俺が何人の女を抱いたと思っている! 馬鹿にするな!」
それを童貞という。
それはさておき、扉の前にやって来た。少し厚いめの扉を開くと、カランと心地よいベルが鳴る。
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