第11話:君は君だから

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第11話:君は君だから

 深夜一時。建福達に買ってもらった可愛らしい犬用ベッドで寝ていた麗奈が薄っすらと目を開く。身体を起こせば、すぐ側には静かに寝息を立てる建福がいた。麗奈は人間に姿を変え、建福の寝顔を見て微笑んだ後立ち上がって部屋を出る。向かう先は台所。喉が乾いてしまったのだ。途中凄まじいイビキを響かせる邦孝の部屋の前を通り、麗奈は台所に辿り着く。百均で買ったオレンジ色のマグカップに麦茶を入れ、麗奈はリビングに行き部屋の電気は点けずにテレビだけを点ける。ソファーに座り、麦茶を飲みながら深夜独特の少し下品な番組を眺めた。そして、ぼそりと独り言を呟いた。 「女の子欲しい」  決して変な意味ではない。  沖縄旅行の時に強く思ってしまったのだ。同性の友達が欲しいと。皆の事は好きだ。良き友達だとも思っている。だが、違うのだ。今回の旅行で痛い程実感してしまった。異性というのはやはり壁であると。  興味があるメイクの話をしたい。お洒落なカフェのテラス席で恋バナしながらケーキを食べてみたい。色んなお店を見て周って可愛い服を試着したい。パジャマパーティーだってしてみたい。こんな事、異性では無理だ。     
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