第15話:大きくても小さなもの

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第15話:大きくても小さなもの

 約十五年前。大阪にある小さなとある神社で、子供達の声が響いていた。 『いーえ無しっ、いーえ無しっ』 『こーじーきっ、こーじーきっ』  家無し、乞食と言って笑いながら、子供達は踞る大男に石を投げ付けていた。 『や、やめて』 『またゴミ食ってたんやろ! なぁ、乞食!』 『この神社お前の家ちゃうぞ! 段ボール帰れや家無しぃ!』 『やめて……っ』 『乞食が喋んなや! お前みたいな乞食はな──』  鈍い音が聞こえ、大男が傷付いた顔を上げる。乞食と騒いでた少年が、駆けつけた少年によって殴られた。殴られた少年は地面に尻をつき、大声で泣く。殴った少年は泣き始めた少年に容赦することなく、馬乗りになって更にタコ殴り。周りに居た少年達が後退った。 『あ、あかん。勇太や』 『ど、どないしよ』 『うわあああん!』 『泣くくらいなら最初からすなボケェ! 一人じゃ出来ひんのか卑怯モン! 俺が相手になったるから来いや!』  散々殴られた少年は、『おとんに言いつけたるからなぁ!』と叫びながら取り巻きの少年達と共に去って行った。殴った少年は大男に向かって大声を出す。 『そない身体大きいのに、あんな雑魚にも勝たれへんのか! 弱虫!』  ただただ、格好良く見えたのだ。その少年が。自分よりうんと小さな少年が、自分よりうんと大きく見えたのだ。
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