第3話:ほんの少しの勇気

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第3話:ほんの少しの勇気

 男はサングラス越しに目を輝かせた。 (日本にキターーーー!!)  このサングラス男はどうやら日本初来日の外国人らしい。肩より少し伸びた黒髪を一つに結んだこの男は、初めての日本に胸を踊らせる。そんな彼が最初に向かったのは自動販売機。何故だとは突っ込んではいけない。そんなの喉が乾いていたからだ。  男は少々ダサいリュックからとてつもなくダサい財布を出す。どぎついペイズリー柄のマジックテープ財布だ。男は躊躇いもなくベリベリベリっと音を立てて財布を開き小銭を出す。何を飲もうかなぁと迷っていた時、財布がくいっと引っ張られた気がしてそちらに目をやった。  財布を引っ張ったのは若い女。ハニーブラウンの緩くウェーブがかった長い髪。その髪を低い位置で二つに結んでいる。どう見ても日本人の顔ではない。ただひとつ言えること。めちゃくちゃ美人である。めちゃくちゃ美人なのにTシャツにジーンズ、スニーカーとラフな格好だ。  日本人だと思われて道を訪ねようとしているのかもしれないと、男は美人に笑顔を作った。 「ニーハオー」 「え、あ」 「アイキャントスピークイングリッシュ。アイムノットジャパニーズ。オーケイ?」     
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