2人が本棚に入れています
本棚に追加
ある夜、二人の間に現れた異形。
狙われたのは、言うまでもなく、私。きっと私のお腹が大きくなっていたことも気づかれていたんだろう。
異形は剣を構え、私に向かってきた。その瞬間、ライが私の前に飛び出し、刺されてしまった。
愛する人の体を貫いた刃。飛び散る彼の血と羽。
異形は予想外の展開に驚いていたが、すぐに冷静になり傷をえぐった後、剣を引き抜いた。
その場で倒れこむライ。
微かに残った力で彼は私のお腹に触れ、私の頬を撫でた後、「ごめん」と微笑み息を引き取った。
その様子をニヤニヤと見下げている異形。
なぜ、お前は笑っているんだ。
私とこの子の最愛の人を殺し幸せを奪われた恨みと、仲間を刺したというのに冷静でいるそいつへの苛立ちを抱え、私は立ち上がり、そいつを睨み付ける。
全身に血液が巡り、力がこもるのを感じた。力強く両手を広げた瞬間、半径10m以内の岩や石がいっせいにその異形に向かい、押し潰した。
私が立ち尽くしていると、遠くから多数の足音が近づきたくさんの人間が助けに来た。その中には私の家族の姿も。 後から聞いた話では、家を飛び出た後、私とライ、そしてお腹の子を受け入れるつもりで探してくれていたらしい。
人間達はこの事態に理解ができず戸惑っているようだった。
安心と疲労から力が抜けた瞬間、私はお腹に強い痛みを覚え、そのまま気を失った。
最初のコメントを投稿しよう!