ANNA

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目を覚ましたときには病院のベッドの上だった。 周りには父、母、弟が私の覚醒に喜んでいる。そこにライの姿は、ない。 お腹はなんだか軽く、少しピリッと痛かった。ふとお腹に触れると、大きかったはずのお腹が引っ込み、おへその下に傷ができている。 『………あ、赤ちゃんは…?』 母に尋ねてみた。 部屋を覆う静寂。駄目だったことなんて、すぐにわかった。 「……ごめんね。もっと早く、あんた達を迎え入れていれば……………」 しばらくして涙しながら答える母。 そうか、助からなかったんだな。 私はぼーっと白い天井を見つめたまま、涙も出なかった。 あの事件から1ヶ月ほど経ち、少し落ち着いた頃に私は家族にあの日の始終を説明した。あまり覚えてはいないが、自分に何か能力があるのだと確かに感じたことも伝えた。家族はなぜか驚きもしなかった。 父が口を開き、「私は元々、土属性の能力者なんだ。お前も、そうだよ。小さい頃に一緒に稽古もしていた。だけど、幸せな家庭に能力なんて要らないと感じてからは力も使わなくなって能力も失っていった。お前ももう覚えていないだろう。だけど、ライ君と出会い、あの事件があって、お前はまた目覚めたんだろうね。」 あの日、陣痛と共に倒れた私は破水してしまったらしく、大急ぎで病院へ運ばれ、すぐに帝王切開が行われたらしい。 だけど、突然の高血圧症と出血によるショックであの子は助からなかった。 両親は孫になるはずだった子を見たと話してくれた。まだ生まれてくるには小さい体だったが、私にそっくりな女の子だったと。そして、背中にはライと同じ白い羽が生えていたと。 それを聞いた瞬間、泣き崩れた。 ごめんね。私がもっと強ければ、あなたのことも、ライのことも守ってあげられたのに。 短い間だったけど、私を母親にしてくれてありがとう。私は強くなるから、ライと一緒に見守っていて。
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