解けないけど書けるテスト

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テスト時間、残り10分。俺は目を開ける。書く。一気に書く。解き方なんて分からない。全く分からない。生まれてから一度も、勉強なんてしたことは無いのだから。解けるわけがない。 でも、俺は¨正解¨を書ける。この問題は、あいつの答えを書けばいい。これは、こいつのを。そうやって、頭のいい奴の書いたものをそっくりそのまま書けばいい。満点を取って目立つことがないように、一問だけわざと間違えた答えを書いてみせた。 チャイムが鳴る。 「テスト終了!一番後ろの人は答案用紙を集めてください」 時間ちょうどに書き終わった。 今回も、満点より一問分だけ少ない点数を取る。 いつも通り、確実に。
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