0人が本棚に入れています
本棚に追加
/6ページ
ハジマル
目が覚める。
目の前は、暗闇だった。
だけど、人間というものは立派なもので、目は闇に慣れようとする。
どこなのかは分からない。
だけど、並大抵の人間の住処では無いことはわかる。
何も無い。
それがこんなに怖いことだと、今知った。
ほんとに、今知った。
こんなに、何も無いのが。
遅れて気づくのは、体の不調。
動かない。
抑えられている感じはしない。
なら。
「おはよう」
人の声。
自分の体が動かないとかの異常とかはさておき、人がいる。
その事に、歓喜した。
思考が鈍っている状態では、この状況で出てくる人が、助けに来た人、自分の味方なんてそんな生ぬるいものでは無いと気づくのには、少々無理があった。
だから、俺は目を疑ってしまった。
最初のコメントを投稿しよう!