ハジマル

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ハジマル

目が覚める。 目の前は、暗闇だった。 だけど、人間というものは立派なもので、目は闇に慣れようとする。 どこなのかは分からない。 だけど、並大抵の人間の住処では無いことはわかる。 何も無い。 それがこんなに怖いことだと、今知った。 ほんとに、今知った。 こんなに、何も無いのが。 遅れて気づくのは、体の不調。 動かない。 抑えられている感じはしない。 なら。 「おはよう」 人の声。 自分の体が動かないとかの異常とかはさておき、人がいる。 その事に、歓喜した。 思考が鈍っている状態では、この状況で出てくる人が、助けに来た人、自分の味方なんてそんな生ぬるいものでは無いと気づくのには、少々無理があった。 だから、俺は目を疑ってしまった。
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