第一章 「 造形物 」

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第1話 「 どういうことだ? 」 ケンはノートンの助手として神話学会に顔を出しながら、あの謎のコードを作ろうとしていた。 ノートンの秘書の時計型PCはケンに言った。 「あのコードを解析しても、単位があまりに小さい為、人の手では制作は困難です。」 「単位ってのは、あれか?ミクロンとか・・・」 「そうです、分子や原子、電子が判別できるようなサイズのものが理想です。」 「俺、電子顕微鏡使ったことない。」 ノートンが言った。 「ケン、秘書さんのジョークだから。」 「え??どの辺が??」 「分子や原子が見えるサイズの単位なんて、見えても宇宙の中にいるみたいなもので、何にも役にたたないよ。」 「ノートン、よくジョークだとわかりましたね。」 「秘書さん、人が悪いな~!」 「人じゃないもので。」 ドアを開けて入ってきたのは、ユリスだった。 「ケンじゃないか、久しぶりだね。」 「ユリス先生、それ、昨日も言いましたよ!」 「あ、そうか~!時間の感覚がおかしくてね。」 「またスーパーコンピューターのことですね、私でよければ伺います。」 「ノートン、秘書さん借りてもいい?」 「ダメ。」 「なんでケンが怒るんだよ??」 「俺も研究に借りるんだから。」 ノートンが呆れて言った。 「俺の秘書をなんだと思ってるんだよ!」
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