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「警備隊は基本そうやることないしね。活躍できるときは頑張らなきゃな」
そんなこともないはずだが。アルベルトは苦笑し、
「ところで、制圧の件はどうなった?」
「近いうちに、地区の視察をなさいますか」
「そうだね」
アルベルトはそう答え、庭へと目をやった。
「あれ?」
帽子をかぶった男が、薔薇の枝葉の剪定をしている。タージュが憮然としながら言う。
「アルベルトさまがたびたび隠れ蓑になさるので、本物を雇いました」
「いい息抜きだったのに」
ため息をついたら、タージュが首を振った。
「なりません。あなたは王になる身なのですよ。バラにまみれている場合ではない」
「バラにまみれてたのはタージュじゃなかった?」
暗にバラ風呂のことを口にしたら、タージュが目尻を赤らめた。
「以前も言いましたが、あれはアルベルトさまを思ってのことで」
「はいはい。俺、これからラビィとデートだから」
「いいなー、俺もデートしたい~」
とフレッド。
「デートと言っても、書庫に行かれるだけでしょう」
「タージュもデートしてきていいよ、ルアンナと」
「なぜルアンナが出てくるのです」
「隊長って超鈍いよな」
バトラーとフレッドがひそひそ話すと、タージュがすかさず言う。
「おい、何を話している」
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