ぱらっとめくって

3/7
前へ
/191ページ
次へ
「警備隊は基本そうやることないしね。活躍できるときは頑張らなきゃな」  そんなこともないはずだが。アルベルトは苦笑し、 「ところで、制圧の件はどうなった?」 「近いうちに、地区の視察をなさいますか」 「そうだね」  アルベルトはそう答え、庭へと目をやった。 「あれ?」  帽子をかぶった男が、薔薇の枝葉の剪定をしている。タージュが憮然としながら言う。 「アルベルトさまがたびたび隠れ蓑になさるので、本物を雇いました」 「いい息抜きだったのに」  ため息をついたら、タージュが首を振った。 「なりません。あなたは王になる身なのですよ。バラにまみれている場合ではない」 「バラにまみれてたのはタージュじゃなかった?」  暗にバラ風呂のことを口にしたら、タージュが目尻を赤らめた。 「以前も言いましたが、あれはアルベルトさまを思ってのことで」 「はいはい。俺、これからラビィとデートだから」 「いいなー、俺もデートしたい~」  とフレッド。 「デートと言っても、書庫に行かれるだけでしょう」 「タージュもデートしてきていいよ、ルアンナと」 「なぜルアンナが出てくるのです」 「隊長って超鈍いよな」  バトラーとフレッドがひそひそ話すと、タージュがすかさず言う。 「おい、何を話している」     
/191ページ

最初のコメントを投稿しよう!

499人が本棚に入れています
本棚に追加